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【2】僕らは八神少年探検隊・改~第1章たからのちず発見

光一が、途方に暮れたようにあたりを見回したとき、同じようにキョロキョロしていた陽平が、何かに気付いたように岩を凝視した。

「なに? どうしたの陽平」

陽平の様子に気付いた光一は、同じように岩に顔を近づける。

「なんか見つけた?」

「うん……。なぁこれ、文字に見えね?」

「え? 文字?」

言われて、光一も顔を近づけてみる。

それは岩の下のほう、地面に接するかしないかという、ぎりぎりの位置にあった。

さっきは雑草に隠れて気付かなかったが、確かに文字らしきものが書かれていた。

「コケで半分消えちゃってるけど、黒ペンで書いてるみたいだね」

「だろ?」

「なんて書いてるんだろ」

陽平が腹ばいになってコケを指で削り出した。

ポロポロとコケが剥がれ落ち、下から文字が現れる。

「えっと……。い……ろは?」

陽平が文字を読み上げてから、光一の顔を見た。

「いろは?」

どうやらそれは、『いろは』と書かれているらしい。

陽平と場所を変わり、光一も確認してみる。

ペン先を押し付けながら、力いっぱい書いたような、たどたどしい文字だ。

確かに『いろは』と読める。

「いろは……って、あれだよね。いろはにほへと~とか言うの」

「ああ。そういえば国語で習ったな。それが?」

「それが……って言われても」

困惑した表情で、光一が頭を掻く。

陽平は岩を見下ろしながら言った。

「なぁ光一。お前、本とかよく読んでんじゃん。こういう暗号ものの解き方とか知らねぇの?」

「うーん、そうだなぁ。……例えば、タヌキの絵が書いてあったら『た』を抜いて読む、とか」

「それぐらいは知ってらぁ。つーかそれは、暗号というよりただのなぞなぞじゃねぇか。あのな、そんなに難しい暗号じゃないはずだぜ。なんせ、地図の作者が子供みたいなんだから」

「じゃあ、陽平も考えてよ」

「考えても分かんねぇから聞いてんだ」

「全くもう……。そうだねぇ。数字だったら、ローマ字や五十音に変換するってのも定番だよね」

「変換か」

そう言って、陽平はポンっと手を打った。

「なんかそれっぽいじゃねぇか。よし、それにしよう」

「それにしようって」

光一は軽く苦笑いをする。

「いい加減な探検隊だね」

「いいんだよ。で、どうすんだ?」

「キーとなるのは、やっぱりこの『いろは』だよね。いろは唄を数字に当てはめてみればいいんだ」

「たとえば?」

「たとえば、いろは唄の出だしは『いろはにほへと』だから、『い』が1、『ろ』が2、『は』が3……ってな感じかな」

「おお。ますます暗号っぽい。となると……」

陽平は、近くに落ちていた棒切れを拾うと、地面にガリガリと書き出した。


『いろはにほへと ちりぬるを
 
 わかよたれそ つねならむ

 うゐのおくやま けふこえて

 あさきゆめみし ゑひもせす』



「確かこんなんだったよな」

「うん、合ってる」

国語を授業を思い出しながら、光一は頷いた。

陽平が、その横に数字を書き足していく。

「『わ』が13で……『む』が23で……」

すべてに数字を書き込んだあと、地図の数字を見た。

「21、14、3、1、11、だから・・・…」

そうして、数字に当たる文字を二人一緒に読み上げる。

「『なかはいる』……つまり」

「なか、入る?」

「だろうな。ちゃんと言葉になったじゃねぇか。正解だったみてぇだな」

嬉しそうに頷いた陽平に対し、光一は首を傾げて見せた。

「中、って洞窟の中ってことでしょ?」

「しかないだろ」

「どれに入るの?」

言って、洞窟を振り返る。

「三つもあるよ」

「ああ、そうか。うーん」

と唸ってから、すぐに納得したように顔を輝かせた。

「中って、真ん中って意味じゃないか?」

「ああ!」

光一が、ぱんっと手を叩いた。

「三つあるうちの、真ん中ってことだね」

「そうそう」

「じゃあ、ちゃんと『まんなか』って書いてくれればいいのにね」

恨みがましそうに、光一は地図を睨む。

すると陽平が、地面に書いたいろは唄を指差しながら言った。

「見ろよ。いろは唄には『ん』が含まれてねぇんだ。昔は、発音する言葉と書き文字は違ったらしいから。だから、『なか』にしたんじゃないか」

「ってことはやっぱり、この地図はそんな昔の人が書いたんじゃないってことだよね。昔の人なら、他に表現の仕方があっただろうし」

「そうだろうな。つーか、そもそも昔は、子供はあまり学校には行ってなかったって聞いたことあるから、字が書けたかどうかも怪しいしぜ。岩に書きつけたのって、どうみてもペンだし。……やっぱ、お前の母ちゃんっぽいなぁ」

「素直に『あいうえお』の五十音を使ってくれれば良かったのに」

「習い立てかなんかで、使ってみたかったんだろ、いろは唄を。子供が考えそうなことじゃん」

「お宝見つけたら、お母さんをびっくりさせてやろ」

地図の主が母親だと決め付けた光一は、ひとりでくすくすと笑った。

そんな光一に構わず、陽平は真ん中の洞窟に近付く。

「この中なぁ……」

入り口から、首を伸ばして覗いてみる。

すぐに光一が追いかけてきた。

「なんかありそう?」

「いや、分かんね。やっぱ入んないとダメかなぁ」

「ねぇ陽平。中に入るのはいいけど、この地図で見ると、バツ印は洞窟の中じゃなくて、下の方に書いてあるんだよね。これってどういうことなのかな?」

「……そういえばそうだったな」

確かに、お宝を示すであろうバツ印は、洞窟よりももっと下の位置に記されている。

「……ん?」

その時、何かに気付いたように、陽平が声を上げた。

「おい、光一」

「なに? どうした?」

「お前、中までは入ったことないんだろ?」

「うん。この近くで遊んだことはあるけど」

「よく目を凝らして見てみろよ。洞窟の右っ側のほう」

陽平が暗闇に向かって指で示す。

光一は、じっと暗闇を見つめていたが、やがて、納得したように頷いた。

「下にくだる道がある……」

「うん。真っ直ぐにも進めるみたいだけど、右側にも道があるんだよ。ここからじゃ、はっきりとは見えないけど、たぶん影の濃さから言って、下に向かってる」

そこまで言って、陽平は光一の顔を見た。

「俺、聞いたことあるんだけど、防空壕って、抜け道が作ってる場合もあるんだって。たぶん、これがそうなんじゃないかな。しかも、この方角からいって、その先は……」

二人同時に振り返る。

「あの谷に繋がってる」

「ああ。つまりバツ印ってことだ」

二人で大きくハイタッチをして歓声を上げた。

「解けたじゃん、謎!」

「すごいね! すごいね、僕たち!」

「ああ、すげぇぜ!」

がっちり腕を交差させてから、互いににやりと笑った。

「……どうする?」

「どうするって……」

「行くか?」

「行く?」

「お宝なんてないかもしれねぇが」

「うん。でも」

「ああ、でも」

「もしかしたらってことも」

「あるからな!」

がっしりと腕を組んだ二人は、真ん中の洞窟に向かって歩き出した。

「こうなったら最後までみてやろうぜ!」

「うん!」




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Author:神無月 大和
         

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