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【3】僕らは八神少年探検隊・改~第2章いざ洞窟へ

*  *  *  *  *




じゃりじゃりと音を立てながら、二人はゆっくり洞窟内に入って行った。

まだ陽は高いのだが、なんせ山の中だ。

辺りは仄暗く、なんとも心許ない。

「懐中電灯、持ってくれば良かったね」

光一が声をひそめながら言った。

「懐中電灯……。探検の必需品じゃねぇか。うっかりしてたな」

陽平が悔しそうに舌打ちをする。

懐中電灯、コンパス、食料に救急箱。

漫画や小説に出てくる探検隊は、みんな準備万端であるのに、自分たちはなんの用意もせずに来てしまった。

持っているのは、『たからのちず』だけだ。

「探検隊失格だな。次にやる時は、しっかり持って来ようぜ」

「次って……次もあるの?」

「さぁな。また見つけとけよ、宝の地図」

「そんな何枚もあるわけないよ」

話しながら薄暗い中をゆっくりと進み、やがて、先ほどうっすら見えていた二又に着いた。

「やっぱり下に向かって伸びてるな」

陽平が、横穴を覗き込みながら言う。

「この隣りにも洞窟あるでしょ。そこに繋がってるってことはないの?」

「それはないんじゃね? さっきチラっと向こうの洞窟も覗いてみたけど、あっちは、すぐ先が行き止まりになってたから。脇から繋がってそうな穴もなかったし」

「そっか」

「二つの洞窟の間を抜けるような感じで、この道は下っていくんじゃないかな」

「うん。……で、ホントに入るの?」

光一が不安そうに聞く。

「う、うーん」

陽平はもう一度、穴の中を覗いた。

洞窟内とはいえ、ここまではまだ外の光が届いているから、どうにか周りの様子が見える。

しかし穴の中は、当然の事ながら光など一切ない。

谷までそう距離はないだろうし、なんせ子供が作ったと思われる宝の地図だ。

難しい道でもないのだろうけど、やはり闇の中に飛び込んでいくというのは、相当勇気がいる。

陽平は、洞窟内をぐるりと見渡した。

かなり深そうだ。

この横穴もそうだが、それよりも、洞窟自体がまだ奥へと続いている。

入り口付近には木の枝や、むかし使ったと思われる壊れた箒などが散乱していたが、奥に進むにつれ整然としていた。

「懐中電灯、取りに行く?」

光一が出口を見ながら言う。

「いや、時間がもったいねぇ。このまま行こうぜ」

決心したように、きっぱりと陽平が言った。

「……マジで?」

「おぅ」

「……大丈夫かな?」

「大丈夫だろ」

なんの根拠もないが、自分に言い聞かせるように頷いた陽平は、

「よしっ」

と気合いを入れると、穴の中へ入って行った。

「ホントに大丈夫かなぁ」

不安ながらも、光一があとに続く。

その穴は、光一らがようやく通れるほどの広さしかなかった。

ほんの数メートル進んだだけで、すぐに闇に包まれた。

歩くのに障害になりそうな石などは取り除かれているが、下り道である上に、でこぼことした足元は非常に歩きにくく、二人は壁に手を付きながら、慎重に歩みを進めた。

「大丈夫か、光一」

「うん。いまんとこ平気」

暗闇とはいえ、互いの存在は分かる。

光一が、陽平の背中にぴたりと張り付くように進む。

「空気が冷たいね」

「だな。どうでもいいけどお前、俺の背中押すんじゃねぇぞ。下手したら転げ落ちるからな」

「あ、ごめん」

謝ってから、少しだけ距離を取る。

ざらざらとした壁の感触が、手に不快さをもたらしてる。

五分ほど進んだ頃だろうか。

「わっ」

突然、陽平が足を止めた。

後ろを歩いていた光一は、あやうく陽平に追突しそうになり、慌てて体を引いた。

「なに? どうしたの?」

「……行き止まりだ」

「へ?」

「ここで終わり」

「うそ」

光一が手探りしをするように前方に手を伸ばすと、確かに彼らの行く手は、土の壁で遮られていた。

「なーんだ。全然、抜け道じゃなかったんだ」

拍子抜けしたように光一が言う。

「……絶対、下に繋がってると思ったんだけど」

陽平がガラにもなく、覇気の無い口調で言った。

光一は、慰めるように陽平の体を叩く。

「やっぱり、宝物なんて無いんだよ」

「……そうなのかな」

「でも、けっこう楽しめたし、今日はもういいんじゃない? そろそろ帰ろう」

「……うん」

そう言って、未練たっぷりの陽平の腕を掴む。

「帰ろう」

もう一度言って、踵を返そうとしたとき、それに気付いた。
「あれ?」
小さく呟いて腰を屈める。

「……ねぇ。ここ、なんか変だよ」

「なんだ?」

陽平が振り返ると、光一は自分たちの腰のあたりの壁を撫でているようだった。

光一の手に誘導され、同じ場所を撫でてみる。

そこは明らかに、土の壁ではなかった。

板のような感触があり、ところどころに冷たく小さい何かがある。

「クギかな」

陽平も身を屈めて、全体を確認してみる。

どうやら、一メートル四方に板が張り付けられているらしい。

板の隙間から、ひんやりとした空気が流れてくる。

「なんでここだけ板張りなんだろ?」

陽平が乱暴に板を叩きながら言った。




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テーマ : 短編小説
ジャンル : 小説・文学

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神無月 大和

Author:神無月 大和
         

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