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【8】僕らは八神少年探検隊・改~第2章いざ洞窟へ



地面に染み込むことなく、不気味な水溜りを作ったその物体。

二人は上体をやや引きぎみにし、視線だけを注いだ。

見れば見るほど、正体が分からない。

「何かが腐ったみたいだね」

光一が顔をしかめながら言う。

陽平は、わずかに顔を近づけてから、鼻をつまんだ。

「酸っぱい匂いがする。あんまり近寄らない方がいいな」

「うん。……花瓶から出したの、マズかったかな」

「ああ。このまま持って帰った方がよかったかも」

「そうだね」

陽平の言葉に同意しながら、光一は花瓶の中を覗いた。

花瓶の壁面に、まだ幾許かの液体が付着している。

「これが宝物……ってことでいいのかな?」

「……だと思うけど」

陽平が、地図に目を落とす。

「これがゴールだろうなぁ」

「僕んちの物置にあったんだから、家の誰かが書いたっていうのは間違いないよね。とにかく一度家に帰って、聞いてみようか?」

「そうだな。宝の正体はいまいち分からないが、それも聞けばすむことだし……。なんかあっという間だったなぁ」

いつにないほど、気の抜けた声で陽平が呟く。

「まあまあ。実際、こんなもんじゃないの、冒険って。そんな映画や漫画みたいにはいかないよ」

「わーってるよ、ンなこと。……んじゃあ、帰るかな」

そう言って背伸びをした陽平は、花瓶を手に取った。

「この花瓶、隠してあった場所に、もう一度置いてくるか」

「え? なんで? 持って帰んないの?」

「こんなの持って帰っても仕方ないしな。得体も知れねぇし。その地図と、俺たちの証言だけで充分だろ」

「そりゃそうだけど」

「正体が分かったら、その地図もまた同じところに隠しておけよ」

「なんで?」

「もしかしたら将来、お前の子供が見つけるかもしれないぜ」

その言葉に、光一は楽しそうに笑った。

「それ、いいね。親子二代で宝探し」

「隠した本人を数えたら、三代にわたっての宝探しゲームだな」

「そうなるといいなぁ」

遠い未来に思いを馳せるように、光一は空を見上げた。

釣られて、陽平も仰ぎ見る。

とても高い空だった。




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テーマ : 短編小説
ジャンル : 小説・文学

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神無月 大和

Author:神無月 大和
         

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