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【12】僕らは八神少年探検隊・改~第4章 龍神伝説と河童

*  *  *  *  *




「ふーん。おまじないねぇ」

光一の机に腰掛けた陽平が、腕組みをしながら唸った。

「確かに、そう考えると辻褄は合うな。花瓶の中身は、まったく得体の知れないものだったし。……あれがおまじないの道具だとすると、わけ分からないものが入ってたのも不思議じゃないぞ」

「うん、僕もそう思った」

陽平の言葉に、光一も頷いてみせた。

月曜日。

光一にとって長い長い週末が終わり、ようやく学校で陽平に報告することが出来た。

宝の持ち主が光一の母ではなかったことに驚いていた陽平だったが、光一の報告が進むにつれ、陽平も再び興奮してきたようだった。

「お前の母ちゃん、嫌いなヤツを懲らしめるためのおまじないだって言ったんだな?」

「うーん。そこはハッキリしないみたい。嫌いな人をやっつけるだったか、たんにお願い事を叶えるためだったか、忘れちゃったって」

「ちぇ。肝心な部分を忘れてんだな」

「仕方ないじゃない。お母さんも子どもの頃に聞いた話なんだから」

光一が頬を膨らませて反論すると、陽平は慌てて手を振った。

「ああ、ごめんごめん。そういう意味じゃなくて。……とにかく、そのおまじないっての、詳細が知りたいな。ホントに何も覚えてないのか?」

「うん。花瓶じゃなくてツボを使うとは言ってたけど、それ以外はなにも」

「ツボと花瓶じゃ大して変わんねぇな。どうにかして調べる方法ないか?」

「そうだねぇ。一番手っ取り早いのは、誰かに聞いてみることだよね」

「そりゃそうだ。分からないことは聞く。勉強の基本だな」

大きく頷いた陽平は、おもむろに机の上で仁王立ちになると、クラスメイトに向けて、がなり声を上げた。

「おおい、みんな聞いてくれ! 誰か、ツボを使ったおまじない知らないか? 嫌いなやつをやっつけるためにツボを埋めるやつ!」

突然クラス中に響いた質問に、クラスメイトたちは呆気に取られたように、陽平を見上げた。

「なに? なんの話?」

「どうした急に。脳みそ沸いたか?」

「最近、暑くなってきたからな」

四方から飛ぶ言葉に、クラスで笑いが起きる。

「いや、そうじゃなくて」

なおも語りかけようとする陽平に、光一は急いで言った。

「ちょっと陽平! なにしてんの!」

「え? だって聞いてみるんだろ?」

不思議そうに光一を見下ろす陽平を無理やり机から下ろして、声を潜めた。

「馬鹿じゃない、陽平ってば!」

「ああ!? 馬鹿だと!?」

「みんなに聞いたって知ってるわけないじゃん! 僕のお母さんが子どもの頃に、ちらっと聞いただけの話だよ。もっと年上の人じゃないと」

「そうとは限らないだろ。同じように親から聞いているやつもいるかもしれねぇぜ」

「大体、質問の理由を聞かれたらなんて答えるの? あの宝物のこと、みんなに話さなきゃいけなくなるんだよ。それでもいいの?」

夕べ、母にも「むやみに触るものじゃない」と諭されたばかりだ。

そもそも地図は、光一の家の物置から発見されている。

自分に関係しているものなのかもしれないのに、これ以上、野次馬が増えるのは、あまりいい気はしない。

邪法かもしれないのに……。

光一の剣幕に、陽平もようやく意図を察したのか、

「ああ、そっか」

と、小さく頭を掻いた。

そっと二人で周りを見渡すと、もうすでにクラスメイトたちは、各々の話題に戻っているようだ。

光一はホッと胸を撫で下ろすと、イスに座りなおした。

「お母さんに教えてくれたのが、ひいおばあちゃんらしいから、それに近い年代の人がいいね。大人の人だったら、子どもの冒険談に本気で首を突っ込んでくることもないだろうし」

「だな。誰か心当たりあるか?」

「……思いつかないなぁ。陽平は?」

「俺は去年、こっちに引っ越してきたばかりだからな。そんな年寄りの知り合いなんかいないぜ。だいたい、お前のひいばあちゃんって、いくつだ?」

「知らないよ。もう死んじゃってるもん。でもたぶん……生きてたとしたら……お母さんがいま三十七歳だから……ひいおばあちゃんの年代って、八十歳とか?」

「八十……」

二人で目をパチパチさせる。

「先生の中にもいないね」

「いないな。いるわけないな」

「どうしようか?」

「どうすっか?」

「図書室に行ってみる?」

「図書室ねぇ」

「そういう本、ないかな?」

「学校におまじないの本とかあるのか?」

「ないのかな?」

なんとも堂々巡りな会話の結果、学校帰りに町の図書館に行ってみることになった。

少なくとも学校よりは、多種多様な本があるだろう。

今後の方針が決まったところで、タイミングよくチャイムが鳴り、ややあって、担任が教科書を抱えて教室に入ってきた。
一斉にみんながバタバタと席に着いていく。

同じように席に向かおうとした陽平に、光一がふと思い出して早口で問うた。
「そう言えば、ツボの中身、誰かに聞いてみるとか言って少し持って帰ったでしょ。あれはどうする?」
「ああ、そっちも考えなきゃな」
互いに頷きあったあと、二人はこちらを睨んでいる担任の視線に気づき、慌てて席に着いた。


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テーマ : 短編小説
ジャンル : 小説・文学

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神無月 大和

Author:神無月 大和
         

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