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【13】僕らは八神少年探検隊・改~第4章 竜神伝説と河童


放課後、二人はその足で、町の中心部にある図書館に向かった。

二人が通う小学校からは、徒歩で約二十分ほどの場所にある。

数年前、それまで公民館と同じ建物内にあった図書館は、広い敷地に独立した建物として建築され、蔵書数も格段に増えた。

新図書館が開館された際、町の配慮により、地元の小・中学校では、一般町民よりも早くに、貸し出しカードが発行された。

ほとんどの児童が、ランドセルにカードを入れたままにしているので、放課後、ふらりと図書館に寄っても、すぐに借りれるのだ。

館内に入った光一らは、入り口で靴を脱ぎ、絨毯敷きの床をゆっくり歩いた。

足音が読書中の人の邪魔にならないようにと、床全面に薄いピンク色の絨毯が敷いてある。

天井からぶら下がっている案内板を見ながら、それらしき書籍棚を探す。

「おまじないって、どのジャンルに分けられてるんだろ」

光一が小さく囁く。

「お前の方が知ってるだろ。本とかよく読んでるし、こういうの好きだろ」

「そうだけど……。本屋さんだと、児童書の棚にあったりするんだ。なぞなぞや占いの本と一緒に。女の子向けの表紙でさ」

「ああ、そういやぁ、そういうの見たことあるな。あの漫画みたいなやつだろ。ああいうのって図書館にもあんのか?」

「本だもん。あると思うけど……」

きょろきょろと見回していた光一は、

「ああ、もしかしたらキッズルームにあるかも」

と、部屋の一角を指差した。

入り口からちょうど対角線上の位置に、ガラス張りの小部屋が設けられている。

分厚いガラスに覆われたその部屋は、幼児向けの絵本や童話が並べられ、床にはクッションや積み木が散りばめられている。

親が本を選びながらも、子どもの様子が見えるようにと作られたらしい。

いまも、三人のちびっ子がクッションを投げ合って遊んでいるが、はしゃぐ声はほとんど聞こえない。

強化ガラスが防音の役目をしているのだろう。

二人はそこに近付き、ガラスに張り付いて本棚を見つめた。

「ほら。なんかそれっぽい本がある」

二人は先を争うように、急いで部屋に入った。

ドアを開けた途端、子どもたちの金切り声が館内に響いてしまい、慌てて扉を閉める。

好き勝手に走り回る子どもたちを避けながら、目的の棚の前に立つと、光一は何冊かの本を取り出した。

『すぐにできる恋のおまじない』

『女の子のためのおまじない百科』

『占い・おまじない入門』

どれもメルヘンチックなイラストが表紙を飾り、一般書より、やや固い紙で出来ている。

二人は床にぺたりと座り込み、パラパラとページを繰ってみた。

内容はどの本も似たりよったりで、『月に向かって好きな人の名前を唱える』だの『勉強をするときに黄色のエンピツを使うと成績が上がる』だのといった、子どもにでもすぐに実践できるようなおまじないが紹介されている。

二人はしばらくの間、無言で目を走らせていたが、やがてため息とともに本を置いた。

「花瓶に何かを入れて埋めます、なんてややこしいまじない、載ってねぇぞ」

「うん、こっちもだめ。自分の部屋で出来そうなものばかりだし、使う道具も文房具が多いね。シャーペンとか消しゴムとか。あ、こんなのもあったよ。恋のおまじないなんだけどね、『好きな相手の教科書を一晩だけ借りてきましょう。彼(彼女)が絶対に気付かなさそうな場所に自分の名前を書き込むと、その直後から彼(彼女)はあなたのことを気にかけるようになるでしょう』だって。これって、本当に恋のおまじないなのかな? もし、相手が名前が書いてあることに気付いたら、そりゃあ、その人のことを気にするようになるよねぇ? だって気持ち悪いじゃない? 『教科書貸したら、自分の名前書いて返して来やがった!』ってさ。それって恋とは違う気がするんだけど。でも、嘘は言ってないよねぇ。確かに『気にかける』ようにはなるんだし」

どことなく納得いかない顔で、光一が言う。

「どう思う? 陽平」

「知らねぇよ、そんな小難しいこと。つーか、どうでもいいし。脱線すんなよ」

陽平から睨まれた光一は、小さく肩をすくめた。

「……だって気になったんだもん」

「全部終わってからにしろ。……うーん、おまじないの本じゃないとすると……」

陽平はガラスの向こうに目を向けた。

「聞いてみるか」

視線の先には、カウンターでパソコンを操作している女性司書の姿がある。

司書は本のプロだという。

どこにどういう本が置いてあるか、どういう内容が書かれているのかをほとんど把握しているらしい。

二人はキッズルームを出ると、カウンターに向かった。

「あの、すみません」

声を掛けると、その女性司書は優しげに微笑みながら、「はい?」と顔を上げた。

「えっと……本を探しているんです」

陽平が言うと、女性司書は頷いた。


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テーマ : 短編小説
ジャンル : 小説・文学

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神無月 大和

Author:神無月 大和
         

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