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【15】僕らは八神少年探検隊・改~第4章 龍神伝説と河童



およそ五百年前に大爆発を起こして以来、大規模な噴火は起こってはいないものの、その地下深くにはいまだ、大量のマグマが溜まっていることが確認されている。

龍火山の麓にはいくつかの町や村が存在しており、八神町も比較的、近い位置に存在している。

龍火山の山頂には、小さくとも美しい火山湖があり、その湖には龍神が棲むという言い伝えがある。

龍火山の名も、その伝説から来ているという。

比較的高度の低い山で、登山道も整備されてるので、光一も幼い頃より、幾度か登山に挑戦している。

光一が手にしている本は、その辺り一帯に残る伝説や民話、風習などをまとめたものだ。

そこにあったある記述が、光一の目を引いた。

『龍神様への供物』と書かれた章に、『その効果と反動』という項目があった。




【龍火山湖に棲む龍神は、時折、水害をもたらす荒神である。
しかし、龍神の好物である、無花果や柿などの果実や、白粉花・夕顔などの花々、あるいはきゅうりや南瓜などの野菜を大きめの壷に入れ、十日間、誰にも知られず、欠かすことなく祭壇にお供えすれば、礼として、自分が快く思わない人間を凝らしめてくれるという。
ただし、一日でも途切れてしまったり、また、他人の知るところとなった場合は、その願いは逆作用となり、自分の身に降りかかることとなる】



光一は、この部分を何度も読み返した。

『壷』というワードが引っ掛かったのだ。

確か母が教えてくれたまじない方法は、ツボに何かを入れて願い事をする、というものだった。

それはまさしく、このことではないのだろうか。

光一はそう確信すると、陽平の袖を引っ張った。

「見つけたよ、陽平」

「マジ?」

光一は、本を陽平に譲り、問題の部分を指差した。

一通り目を通した陽平は、何度も大きく頷いた。

「間違いねぇな。お前の母ちゃんが言ってた通りじゃん」

「だよね。これに違いないよね。あの花瓶は、龍火山湖の龍神様へのお願いごとだったんだ」

「ああ、そうらしいな。それにしてもこの龍神様って、なんかショボくねぇか?」

「ショボい? なにが?」

「いや、龍神って龍だろ。つまりドラゴンだ。ドラゴンが花とかきゅうりが大好物って、あんまり聞かねぇぜ」

「そうかな? 僕は、桃が好物って話は聞いたことあるけど」

「桃?」

「桃は長寿の果物なんだって。無花果もそうじゃなかった? だから別に変だとは思わないけど……」

「それにしてもきゅうりって……なんか河童みてぇだな」

「河童? ああ、河童か。それだよ、陽平。それなら辻褄が合う」

「どう合うんだ?」

「龍神様の正体だよ。龍神様って河童のことじゃない? 普通、河童って言ったら、いたずら好きな妖怪でしょ。でも八神町ではなぜか、水神様に分類されるんだ。龍神も水神様なんだろうけど、どちらかというと河童の方が町民はなじんでるよね。だから龍神様の好物が河童と被ってるんだよ」

「……そんなもんか?」

「それに……そうそう。白粉花や夕顔は、夕刻に関係した植物でしょ。河童の活動時間は夜って言われてるから、それから連想したんじゃないかな」

光一の言葉にしばらく宙を睨んでいた陽平は、諦めたようにため息をついた。

「夕顔は分かるけど……。朝顔とは逆で、夕方に咲くもんな。でも白粉花は……。白粉花ってあれだろ。固くて黒い種が取れるやつ。中に白い粉が入ってるんだよな。なんであれが夜に関係してんだ? 昼間でも咲いてるぜ」

「白粉花はね、別名を夕化粧っていって、夕方に花が咲くんだよ。ただ、地域や気候によっては、朝から咲くこともあるみたいだけど」

「ああ、そういうことか」

ポンと手を打った陽平は、

「夕方に咲く花と、夕方から活動する河童。その共通点から昔の人は、河童と花をセットにしたんだな」

「セットというか、そういう言い伝えがいつの間にか出来上がったんだろうね。それで、おまじないにも採用されたんだ」

「採用って、お前」

「だってそうでしょ。誰かが作った習わしだから、こうやって今でも語り継がれてるんだ。少なくとも、それを実行した人がいる。ここに」

そう言って光一は、自分の胸を指差した。

もちろん自身のことを言っているのではなく、自分の身内であると言いたいのだろう。

陽平は大きく頷いた。

「問題は、あの花瓶が、なんの目的で仕掛けられたのかってことだよな」

「そうだね。要するにこのおまじないって、人を呪うためのものでしょ」

「だな。嫌いな人をやっつけて下さい! ってさ」

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テーマ : 短編小説
ジャンル : 小説・文学

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神無月 大和

Author:神無月 大和
         

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