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【16】僕らは八神少年探検隊・改~第4章 龍神伝説と河童



「うん。お母さんもそれらしいこと言ってたし。ただ、もし本当に人を呪うためのおまじないだとしたら、その花瓶を『たからもの』として、わざわざ地図に残したのが、疑問なんだよね。『たからもの』と名前を付けることは、まぁいいとして、わざわざ地図に残すかなぁ。だって人に知られちゃいけないんでしょ?」

「だよなぁ。もし他人に見つかって、それが誰かを呪ってるものだったとバレたら、ひどい目に合いそうだし」

「そういうこと。……うーん。なんかいまいち、ちぐはぐな感じだよねぇ。あの花瓶は、龍神様を使ったおまじないなのは、ほぼ間違いないと思うんだけど、でもそうすると、『たからのちず』と雰囲気が合わないというか……」

「ああ。あの地図からは、子どもの無邪気さしか感じられなかったよな。負のパワーじゃなくて、子ども特有の秘密の宝物、って感じでさ」

「うん。それに、あの花瓶の中身と同じものが、洞窟内にもあったじゃない?」

「ああ、そうだったな。そもそもあそこで初めて、お前が手を汚したんだよな」

「うん。なんであんなところに、花瓶の中身がこぼれてたんだろ?」

「確かに不思議だな。しかもほとんど中身の状態が同じだったし……。密閉された花瓶と洞窟。いくらあの道が塞がれていたからって、おなじ条件になるとは思えないぜ」

二人揃って首を傾げたところで、夕方五時を知らせるチャイムが聞こえた。

「あ、そろそろ帰んなきゃ」

二人は急いで、本をもとあった場所に返しに行った。

「そう言えば、光一」

陽平が本を棚に戻しながら、思い出したように言った。

「なに?」

「つまり、お前の手にべったりくっついた正体不明の物質は、果物や花が、密閉された花瓶の中で腐りまくったものだった、ってことだよな。しかも何十年も前の」

「………あ」

目をぱちくりさせたあと、光一はおそるおそる自分の手の平を眺めた。

絡みつくような、ねっとりとした液体が自分の手に付着した感触が、突如、リアルに蘇った。

「うわあああ! やだやだ!」

光一は、勢い良く腕を振り回した。

「やだ! 気持ち悪い!」

叫び続ける光一を、陽平は慌てて押さえつける。

「馬鹿! 声がでかい!」

「だって、腐ったものが僕の手に! って言うか、陽平の手にもくっついたじゃん! ちょっ、触んないで!」

「おま、いつの話だよっ。もうとっくに綺麗になってるわ! つーかお前、ここをどこだと……」

言った陽平の言葉に被せるように、さきほどの女性司書の鋭い声が飛んできた。

「静かに!」

打って変った厳しい口調に、二人は飛びあがり、

「すみませんでした!」

と勢い良く頭を下げると、逃げるように図書館をあとにした。


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テーマ : 短編小説
ジャンル : 小説・文学

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神無月 大和

Author:神無月 大和
         

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